鈴木一史 代表取締役 / 左官職人
空間の隅々まで光線を伸ばす 美しき白壁 「漆喰」
- ブログ 漆喰について

飛鳥時代から続く、神々しい白い壁
日本の建築史を遡ると、そこには常に「漆喰(しっくい)」の存在がありました。
現存する日本最古の漆喰壁は飛鳥時代作られた、高松塚古墳の壁画を今もなお見ることができます。
その後に法隆寺の金堂壁画など、格式高い宮殿や社寺仏閣へその技術が受け継がれてきました。
漆喰の白い壁は非常に高価なものでした。当時は石灰ではなく、貝を焼く「貝灰」が主流で、大量の貝と、大量の薪が必要でした。
また漆喰に欠かせない糊も米から作っていたので、非常に高価なものだったので、漆喰の建築は権力の象徴でもあり特権階級のみ使うことのできる壁でした。
その後長い年月を経て江戸時代に入ると幕府による防火政策(火災から町を守る知恵)によって土蔵や町屋へと普及し、それに伴い貝灰から大量に生産できる石灰へ変わり輸送インフラも整い、米で作っていた糊も、海藻糊(角又糊)に代わり広く江戸の町に普及していき、現代へとつながる日本の風景を作ってきました
「光を伸ばし、空気を整える」という機能美
日本古来の住宅は暗い。
なぜなら、夏の日差しを遮り温度上昇を控えたり、雨風から住まいを守る為、軒の出が大きく部屋の奥深くまで光が届きにくいのです。
そのような空間の中で、白い漆喰壁はレフ板のような働きをしていたと考えられます。
漆喰にあたる光はほのかに反射して、空間の奥まで光線を伸ばしていく。
明るさを求めたときに漆喰という選択は最適解かもしれません。
また、漆喰の表情は鏝で押さえた時には、ゆらぎのない整った平面となります、
その整った白壁は空間に凛とした澄んだ空気を漂わせます。
それは感覚的な空気感のみならず、実際の湿度の調整などの機能も併せ持っています。
漆喰がもたらす「健やかな暮らし」
「布団がかびにくいから押し入れには漆喰を塗るんだよ」
大工の棟梁の言葉で、昔は和室にあった押し入れに漆喰をよく塗りました。
漆喰には大きく6つの機能があります。
①調湿機能
漆喰には空気中の湿度を吸放出して室内の湿度を一定に保とうとする働きがあり、漆喰の空間はじめじめしない整った空間になります。
②消臭機能
多孔質性のある漆喰には、生活臭も吸着する消臭効果もあります。
③ホルムアルデヒトの吸着分解機能
シックハウス症候群の原因でありホルムアルデヒドの吸着分解の機能があり
安心できる空間になります。
④抗菌効果
主原料の消石灰は強アルカリなので殺菌効果があります。
鳥インフルエンザ等が発生したときに消毒する際に撒かれるのが石灰です。
ヨーロッパの古い言い伝えとして、疫病が流行ったときには教会に逃げ込め。という言葉があるように、抗菌効果もあります。
⑤二酸化炭素を吸収
消石灰(水酸化カルシウム)が二酸化炭素と結合しながら、元の石灰石(炭酸カルシウム)に戻ろうとする化学反応で、漆喰は長い年月をかけてしなやかに固まっていきます。
⑥不燃性
先述した江戸時代の火災から家財や人命を守るために、漆喰塗を推奨した経緯もこの漆喰の不燃性を活かして打ち出した政策と考えられます。火に強いという利点も漆喰は備えています。
現代の感性に寄り添う、彩豊かな漆喰
「漆喰=白」というイメージが強いかもしれませんが、実は色彩のコントロールも自由自在です。ヨーロッパのカラフルな漆喰のように、現代のインテリアに合わせて表情豊かな空間を演出することも可能です。
古来より受け継がれてきた「高貴な白」の精神を守りつつ、現代の暮らしに「凛とした静寂」と「安心」を。 漆喰という選択は、あなたの住まいに一生モノの価値をもたらしてくれるはずです。
















