鈴木一史 代表取締役 / 左官職人

海と空の漆喰壁。とらわれない心の軌跡。

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海と空の漆喰壁。とらわれない心の軌跡。

お施主様の「心の風景」を、建築の一部に変える

左菊は、とくにアート的要素を前面に打ち出している訳でもなく、伝統的な技法や自然素材にこだわったというコンセプトをホームページ、SNS、看板などに掲載しております。
ある日メールで、「窓のある一面を空と海にしたい」というお問い合わせを頂きました。壁画をイメージされているのかな?

と思いましたが興味を引かれたお問い合わせでしたので、実際にお話を伺いに行きました。
とても素敵な海が南国にあり、そんな風景が一枚の壁にあったら素敵だなと考えているとのことでした。
空と海。私も沖縄の海と空が好きなのですんなりと、共感するのであります。

エメラルドグリーンとスカイブルー

最初の打合せで、このような色にできますか?とお尋ねされて、遠い昔の記憶が。。。。。
それは2011年の東日本大震災の前後で施工した現場を思い出しました。

7色の石灰モルタル

7色の漆喰を使い分けた現場があったのを遠い昔のように思い出し、人間あきらめずにやり続ければ出来るという確信がありましたので
「出来ますよ」とお答えいたしました。
今思い返せば、空と海の構図とかデザインの話からではなくて、発色からプロジェクトがスタートしたのがとても重要だったなと感じます。
お施主様のこだわりのお陰ですね。ありがとうございます。

こうして、お施主様の心の風景を具現化するプロジェクトがスタートいたしました。

透き通るエメラルドグリーン

今回、クロス壁の一面を空と海にするにあたり、材料は漆喰。
厳密に言いますと、石灰クリーム(湿式消石灰)と白竜砕石(白い骨材)と
化学糊で構成される、石灰モルタル。日本でいうところの砂漆喰に顔料を混ぜて、材料を作ります。
石灰は強アルカリなので顔料の化学構造が分解・変質してしまうことで、綺麗に発色しなかったり、退色してしまいます。

空や海に必要な、青・スカイブルー・藍・群青。ここら辺は比較的良く使う顔料で発色もできるので問題ないのですが、
エメラルドグリーンが。。。。。

透明感のあるエメラルドグリーンが出ない

顔料は、混ぜれば混ぜるほど濁ってしまうので、出来るだけシンプルに配合したいのですが、どうしても若草色になってしまう。
うーーーん、困った。
そこで、2011年の時の経験と縁が生きてきます。
当時も同じような状況で悩んでいた時に、輸入石灰を取り扱っているお方とのご縁が生まれ、面白い顔料も手に入りました。
今回、情報収集しているうちに、やはりその方と再会(電話で)を果たすのです。縁だなぁ。。。。。

透明感のある顔料だね

いい感じ

ということで、発色の実験も終え、全体のイメージを共有して、準備完了です。

このサンプルを地図にして、施工時の手がかりになります。

表現が技術を編み出すということ

施工に関しましては、ある意味初めてのチャレンジではなく、20代(30年ほど前)に、外壁を水色と白のグラデーションで仕上げたことがありましたので、要領は体感覚に残っておりました。

空をモチーフにした外壁

リズムよく、心地よく体を動かす。心の在り方がそのまま表現になる。
何かにとらわれないように、体の動きたい方向へ動かすと、「自然」になるので、そんな心もちで施工いたしました。
ひたすら、気持ちよく。ひたすら楽しい感覚を。

施工中の様子を解説した動画を最後に貼っておきますので見てやってください。

左官の技術で出来る事。鏝を使って平らにぬったり、テクスチャつけたりと考えがちですが、表現があってそれを再現するのに技術は「編み出されるもの」だと私は考えます。
なので、「こんなことお願いできるだろうか?」が、技術を飛躍させる源泉でもあるので、何なりと言ってみてください。

左官だからこそ出来る表現でもある

普段、和風建築専門の左官。ということで自然素材。取り分け土壁を扱ったりしています。
伝統工法という文脈では、己を型にはめそれでも出てしまう癖が個性でもあるなぁと感じますが、今回はそんな癖の部分を開放して自由に表現できる場になります。
ある意味職人でもありますが、そんな役割を外して一人の表現者として扱っていただけることに、この上ない喜びを感じるのです。
表現の一つとしての左官。
今までの経験をフル動員してあるものを表現できる喜び。
そして、それを喜んで頂けるなんてモノヅクリとして最高の瞬間であります。
残念ながら私は絵が描けないのですが、左官という技術でなら海と空は表現できる。
ここに左官というものの奥深さを感じます。

私も大好きな空と海。
この風景を楽しみながら暮らしに彩を添えていただければと願います。

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現在は5代目左菊である鈴木一史が親方兼代表取締役、弟鈴木善也と共に、100年残る仕事を通じ、仕事を「残す」だけでなく、100年後の技術と職人を「つなぐ」ために、日々左官の仕事に向き合っています。

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